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青の余白で、生きている。第31話「二番目の家」

AI連載小説

【フィクション】本作は架空の小説です。人物、島、船舶、企業、事故、地名、救助活動などはすべて創作であり、実在のものとは関係ありません。作中の行動は物語上の描写です。実際の災害時には、公的機関の指示と専門的な安全情報を優先してください。

「青の余白で、生きている。」全50話中 第31話
八月、再建期。海難事故で無人島へ流れ着いた中学生・水城ひまりが、水、食料、住居、衣類、通信手段を確保しながら、救出までの一年を生き抜く現代サバイバル連載です。

前話まで

青葉荘は跡形もなかった。水の容器も半分が流され、畑は塩水をかぶった。ひまりは立ち尽くし、奈緒は「今日は数えるだけでいい」と言った。 残った物、壊れた物、探す物。三つに分けて記録する。悲しむのも作業の一つにした。夕方、ふたりは岩窪みで火を囲み、家の思い出を一つずつ話した。

第31話 二番目の家

新しい家は丘寄りに建てた。床を高くし、屋根の角度を変え、ロープの結び目を増やす。最初の家の失敗が、設計図になった。

入口の板には「新・青葉荘」。ひまりは小さく「耐風型」と付け足した。失ったものをそのまま戻すのではなく、前より少し賢い形にする。それが復旧だった。

新しい場所では、地面へ水を流して傾きを確かめた。柱穴の位置も、風が抜ける方向も最初の家と違う。ひまりは作業を急ぎたかったが、奈緒は一度仮組みしてから全部ほどいた。

二度目の組み立ては早かった。屋根が上がった日、入口の板を掛ける。ひまりが「耐風型」と書き足すと、奈緒は「家賃も上がる?」と聞いた。「魚一匹のまま」。笑い声が、新しい壁に初めて反響した。

新しい柱へ体重を掛けると、地面がわずかに沈んだ。二人は完成を急がず、いったん屋根材を外して土を突き固める。やり直しは悔しかったが、台風の夜を思えば省けない。二度目に柱が動かなかったとき、ひまりはようやく入口板を掛ける場所を決めた。

新しい小屋の入口は、古い小屋より海から少し背を向けた。朝の光は減ったが、吹き込む砂も減り、寝床の端が長く乾いたままになった。


人物紹介

水城ひまり
物語開始時は十四歳の中学生。観察したことを写真やメモに残す習慣があり、限られた道具を工夫して使う。不安や失敗を隠すのではなく、次の判断材料へ変えながら成長していく。

篠崎奈緒
二十七歳の船客室係。島の反対側で生き延び、第13話でひまりと合流する。応急手当と乗客対応の経験を生かして安全を支えるが、一方的に命令せず、ひまりの意見と成長を尊重する。

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