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青の余白で、生きている。第20話「五月の嵐」

AI連載小説

【フィクション】本作は架空の小説です。人物、島、船舶、企業、事故、地名、救助活動などはすべて創作であり、実在のものとは関係ありません。作中の行動は物語上の描写です。実際の災害時には、公的機関の指示と専門的な安全情報を優先してください。

「青の余白で、生きている。」全50話中 第20話
五月の嵐。海難事故で無人島へ流れ着いた中学生・水城ひまりが、水、食料、住居、衣類、通信手段を確保しながら、救出までの一年を生き抜く現代サバイバル連載です。

前話まで

毎日同じ時刻に海岸線を撮り、潮の満ち引きを記録した。礁湖へ入るのは波が穏やかで明るい時間だけ。奈緒が岸から見守り、ひまりは決めた範囲を越えない。 小魚、カニ、巻き貝。採りすぎず、小さなものは戻す。海は倉庫ではない。明日の食事を残すことが、今日の空腹を満たすのと同じくらい大切だった。

第20話 五月の嵐

気圧が下がり、鳥が低く飛んだ。ふたりは屋根を縛り直し、道具を箱へ入れ、火種を乾いた容器へ移した。その夜、風が島を丸ごと持ち上げようとした。

小屋の一部は裂けたが、骨組みは残った。朝、SOSの石は散っていた。ひまりは黙って拾い始め、奈緒も隣で拾った。直せるものがあるうちは、絶望に全部を渡さなくていい。

風が強まる前、二人は小屋の中で役割を確認した。ひまりは水と火種、奈緒は救急用品と通信機器。持ち出せない物は高い場所へ上げ、入口の板は外した。

夜中、屋根の一部が激しくはためいた。押さえに出ようとしたひまりを奈緒が止める。今直す危険と、朝失う損失を比べ、二人は中に残った。朝、屋根は裂けていたが、二人に新しいけがはなかった。その選択だけは成功だった。

避難の準備中、ひまりは入口に掛けた名札を外そうとした。奈緒は首を振り、「命に必要な物から」と短く言う。名札を残す痛みと、荷物を軽くする判断は別だった。二人は振り返らず岩窪みへ向かい、風の音が大きくなる前に最後の斜面を越えた。

岩窪みの入口には、風で飛ぶ物を一つも置かなかった。暗くなってから踏まないよう、持ち込んだ荷物を壁沿いに低くまとめた。


人物紹介

水城ひまり
物語開始時は十四歳の中学生。観察したことを写真やメモに残す習慣があり、限られた道具を工夫して使う。不安や失敗を隠すのではなく、次の判断材料へ変えながら成長していく。

篠崎奈緒
二十七歳の船客室係。島の反対側で生き延び、第13話でひまりと合流する。応急手当と乗客対応の経験を生かして安全を支えるが、一方的に命令せず、ひまりの意見と成長を尊重する。

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