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青の余白で、生きている。第10話「電池の使い道」

AI連載小説

【フィクション】本作は架空の小説です。人物、島、船舶、企業、事故、地名、救助活動などはすべて創作であり、実在のものとは関係ありません。作中の行動は物語上の描写です。実際の災害時には、公的機関の指示と専門的な安全情報を優先してください。

「青の余白で、生きている。」全50話中 第10話
四月下旬。海難事故で無人島へ流れ着いた中学生・水城ひまりが、水、食料、住居、衣類、通信手段を確保しながら、救出までの一年を生き抜く現代サバイバル連載です。

前話まで

岩陰は雨に弱く、満潮時には波しぶきが届く。ひまりは浜から離れた少し高い場所に、流木でA字の骨組みを作った。結び目には漂着ロープと裂いた布を使う。 屋根はシートを二重にし、床には乾いた葉と細枝を厚く敷いた。入口を海へ正面に向けない。初めて中に座ったとき、そこは避難場所ではなく「ひまりの家」になった。

第10話 電池の使い道

スマホは機内モードにし、毎日正午に五分だけ起動することにした。時刻、日記、写真、オフライン保存されていた防災資料。それ以外には使わない。

モバイルバッテリーは残り61パーセント。助けが近づいたときに通信を試すため、今は温存する。連絡できない機械でも、記録が心をつなぎ止めてくれた。

スマートフォンの画面には、家族写真と未読の学校連絡が残っていた。開けば時間を忘れて見続けてしまう。ひまりは写真を一枚だけ表示し、すぐ機内モードの設定へ戻った。

毎日正午という決まりは、電池だけでなく心を守った。起動する時刻まで待てばいい。電波を探して浜を歩き回らなくていい。録音は三十秒以内にし、その日できたことを一つ話す。声が震えた日は、無理に言い直さなかった。

録音を終えたあと、ひまりは母の写真を開かずに画面を伏せた。見たい気持ちは消えない。けれど一枚を見れば、次も、その次も開いてしまう気がした。端末を布で包み、いちばん乾いた箱へ戻す。残量の数字を守ることが、家族との細い糸を守ることに思えた。

正午の確認時刻を知らせる時計も、端末の電池で動いている。ひまりは太陽が岩の先へ重なる位置を覚え、画面を見ない目安を島の上へ作った。


人物紹介

水城ひまり
物語開始時は十四歳の中学生。観察したことを写真やメモに残す習慣があり、限られた道具を工夫して使う。不安や失敗を隠すのではなく、次の判断材料へ変えながら成長していく。

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