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青の余白で、生きている。第4話「火のない夜」

AI連載小説

【フィクション】本作は架空の小説です。人物、島、船舶、企業、事故、地名、救助活動などはすべて創作であり、実在のものとは関係ありません。作中の行動は物語上の描写です。実際の災害時には、公的機関の指示と専門的な安全情報を優先してください。

「青の余白で、生きている。」全50話中 第4話
四月、漂着直後。海難事故で無人島へ流れ着いた中学生・水城ひまりが、水、食料、住居、衣類、通信手段を確保しながら、救出までの一年を生き抜く現代サバイバル連載です。

前話まで

漂着物の中から、蓋の割れた収納箱、ペットボトル、ビニール袋を拾った。汚れを海水で落とし、最後にわずかな飲料水ですすぐ。空には湿った雲が集まっていた。 夜半、雨が来た。シートの中央をくぼませ、ボトルへ水を導く。ぽつ、ぽつ、と容器に落ちる音は、どんな通知音よりうれしかった。ひまりは一口ずつ飲み、「一日目、生存」と録音した。

第4話 火のない夜

ライターは濡れて点かなかった。枝も湿り、火は起こせない。ひまりは乾いた葉を服の内側で温め、明日の火口にすることにした。

制服のブラウスは冷えたので脱ぎ、漂着した薄手のウインドブレーカーを重ねた。暗闇では波音が獣の息に聞こえた。スマホのライトは一分だけ。消した後も、光の四角がまぶたに残った。

暗くなると、昼に見た森の形が分からなくなった。葉の擦れる音が足音に聞こえ、ひまりは何度も身を起こした。ライトを点ければ安心できる。しかし一度点けるたび、帰るための電気が減る。

彼女は救命胴衣の笛を首へ掛け、手探りで届く位置に石を置いた。眠れなくても、横になって体を休めることはできる。波を十回数えたら呼吸を一つ深くする。百を越えたあたりで、恐怖と疲労の境目がぼやけ、短い眠りが訪れた。

夜明け前、ウインドブレーカーの内側へ入れていた葉を取り出すと、体温でわずかに湿気が抜けていた。ひまりは指先で細く裂き、石のくぼみに置く。まだ炎はない。それでも、朝になったら最初に試す形が目の前にあるだけで、暗闇は少し狭くなった。

東の空が薄くなるころ、石のそばへ置いた火口の輪郭が見えた。ひまりは夜を越えた手で、最初の一打に使う乾いた石を選んだ。


人物紹介

水城ひまり
物語開始時は十四歳の中学生。観察したことを写真やメモに残す習慣があり、限られた道具を工夫して使う。不安や失敗を隠すのではなく、次の判断材料へ変えながら成長していく。

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