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青の余白で、生きている。第3話「雨を待つ器」

AI連載小説

【フィクション】本作は架空の小説です。人物、島、船舶、企業、事故、地名、救助活動などはすべて創作であり、実在のものとは関係ありません。作中の行動は物語上の描写です。実際の災害時には、公的機関の指示と専門的な安全情報を優先してください。

「青の余白で、生きている。」全50話中 第3話
四月、漂着直後。海難事故で無人島へ流れ着いた中学生・水城ひまりが、水、食料、住居、衣類、通信手段を確保しながら、救出までの一年を生き抜く現代サバイバル連載です。

前話まで

喉は渇いていたが、海水を飲んではいけないことだけは知っていた。日陰、真水、救助の目印。理科部の防災講習で聞いた順番を、震える指でスマホのメモへ書く。 ひまりは満潮線より上へ移り、流木と救命胴衣でSOSを作った。夜は岩陰に非常用シートを張った。食べ物はなかったが、まず今日を越える。それを最初の目標にした。

第3話 雨を待つ器

漂着物の中から、蓋の割れた収納箱、ペットボトル、ビニール袋を拾った。汚れを海水で落とし、最後にわずかな飲料水ですすぐ。空には湿った雲が集まっていた。

夜半、雨が来た。シートの中央をくぼませ、ボトルへ水を導く。ぽつ、ぽつ、と容器に落ちる音は、どんな通知音よりうれしかった。ひまりは一口ずつ飲み、「一日目、生存」と録音した。

雲は来ても、島の上を素通りすることが二度続いた。ひまりは空を見上げすぎて首が痛くなった。三度目の雲が暗くなったとき、容器を浜のあちこちへ置き、シートの端を低くした。

最初の水には葉と砂が混じったので、飲みたい気持ちをこらえて捨てた。次にたまった水は透明だった。少量を口に含み、時間を置く。冷たさが喉を通った瞬間、雨音は拍手のように聞こえた。残りは蓋をし、倒れないよう石で囲んだ。

最初に拾ったペットボトルは、蓋の内側に砂が入り込んでいた。ひまりは飲料水を全部すすぎに使わず、布を細く丸めて溝だけを拭う。透明な容器を光へかざし、油の膜や匂いがないものから雨受けへ回した。数より、飲み水に使える状態かどうかを優先した。

雨脚が強くなると、シートのくぼみに水が溜まりすぎて中央が沈んだ。ひまりは肩で端を支え、片手でボトルを交換する。冷たい水が袖を伝っても離さなかった。雲が去ったあと、大小の容器が並ぶ光景を見て、明日の喉を守れたことを初めて実感した。


人物紹介

水城ひまり
物語開始時は十四歳の中学生。観察したことを写真やメモに残す習慣があり、限られた道具を工夫して使う。不安や失敗を隠すのではなく、次の判断材料へ変えながら成長していく。

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