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青の余白で、生きている。第19話「潮の暦」

AI連載小説

【フィクション】本作は架空の小説です。人物、島、船舶、企業、事故、地名、救助活動などはすべて創作であり、実在のものとは関係ありません。作中の行動は物語上の描写です。実際の災害時には、公的機関の指示と専門的な安全情報を優先してください。

「青の余白で、生きている。」全50話中 第19話
五月。海難事故で無人島へ流れ着いた中学生・水城ひまりが、水、食料、住居、衣類、通信手段を確保しながら、救出までの一年を生き抜く現代サバイバル連載です。

前話まで

雨が降らない日が続き、貯水が減った。ふたりは屋根の面積を広げ、竹に似た中空の茎で樋を作った。最初の汚れた雨は流し、その後の水だけを容器へ入れる。 容器には採取日を書き、飲用と洗浄用を分けた。水は見つけるものではなく、育てるもの。並んだボトルを、ひまりは「水の畑」と呼んだ。

第19話 潮の暦

毎日同じ時刻に海岸線を撮り、潮の満ち引きを記録した。礁湖へ入るのは波が穏やかで明るい時間だけ。奈緒が岸から見守り、ひまりは決めた範囲を越えない。

小魚、カニ、巻き貝。採りすぎず、小さなものは戻す。海は倉庫ではない。明日の食事を残すことが、今日の空腹を満たすのと同じくらい大切だった。

潮だまりへ入る前、二人は枝で深さを測った。ひまりが水へ入り、奈緒は岸から時間を読み上げる。夢中になると、潮が戻る速さを見失うからだ。

小さな貝を戻すひまりに、奈緒は「明日の分?」と聞いた。「来月の分」。冗談のようで、本気だった。採る場所を日ごとに変え、何も取れない日は保存食を使う。海を空にしないことが、二人の空腹を長く支えた。

採取を終えた場所へ、ひまりは白い小石を三つ並べた。次に来る日は、その印が消えてからにする。奈緒は隣の潮だまりへ同じ印を置き、地図にも日付を書いた。今日の空腹だけで海を見れば、明日の食べ物まで取り尽くしてしまう。残す量を決めることも収穫だった。

貝を戻した潮だまりへ波が入り、水面が一瞬白く濁った。透明さが戻るまで眺めてから、二人は採取道具を洗い、別の浜へ移った。


人物紹介

水城ひまり
物語開始時は十四歳の中学生。観察したことを写真やメモに残す習慣があり、限られた道具を工夫して使う。不安や失敗を隠すのではなく、次の判断材料へ変えながら成長していく。

篠崎奈緒
二十七歳の船客室係。島の反対側で生き延び、第13話でひまりと合流する。応急手当と乗客対応の経験を生かして安全を支えるが、一方的に命令せず、ひまりの意見と成長を尊重する。

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