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青の余白で、生きている。第11話「煙の文字」

AI連載小説

【フィクション】本作は架空の小説です。人物、島、船舶、企業、事故、地名、救助活動などはすべて創作であり、実在のものとは関係ありません。作中の行動は物語上の描写です。実際の災害時には、公的機関の指示と専門的な安全情報を優先してください。

「青の余白で、生きている。」全50話中 第11話
五月初め。海難事故で無人島へ流れ着いた中学生・水城ひまりが、水、食料、住居、衣類、通信手段を確保しながら、救出までの一年を生き抜く現代サバイバル連載です。

前話まで

スマホは機内モードにし、毎日正午に五分だけ起動することにした。時刻、日記、写真、オフライン保存されていた防災資料。それ以外には使わない。 モバイルバッテリーは残り61パーセント。助けが近づいたときに通信を試すため、今は温存する。連絡できない機械でも、記録が心をつなぎ止めてくれた。

第11話 煙の文字

浜のSOSは流木だけでは空から見えにくい。白い砂の上に黒い石を並べ、三文字を太くした。そばには煙を上げるための生葉をまとめて置く。

飛行機の音がした気がして火へ葉を投げたが、空は空のままだった。煙だけが青へ溶ける。失敗ではない。次にすぐ動ける練習だった、とひまりは自分に言った。

煙を濃くする生葉は、火を弱らせることもあった。ひまりは乾いた枝で炎を十分育ててから、葉を少しずつ載せる。白い煙が立つたび丘へ走り、空を探した。

雲の奥で低い音がしたとき、彼女は笛も吹いた。喉が痛くなるまで叫び、何も見えなくなってから火を整え直す。煙に使った葉の量、風向き、見えた時間を記録した。次の機会に、迷わず同じ動きをするためだった。

煙は風に押され、海ではなく森の方へ流れた。ひまりは火を大きくするのをやめ、丘の草が揺れる向きを待つ。やがて葉先が沖へ倒れた瞬間、生葉を載せると白い柱がまっすぐ伸びた。誰にも見られなかったとしても、次に成功させる条件は一つ分かった。

丘から戻る途中、喉の痛みに気づいて水を少しずつ飲んだ。叫び続けて声を失えば、次の船影へ合図できない。声も温存すべき道具だった。


人物紹介

水城ひまり
物語開始時は十四歳の中学生。観察したことを写真やメモに残す習慣があり、限られた道具を工夫して使う。不安や失敗を隠すのではなく、次の判断材料へ変えながら成長していく。

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