この話はフィクションです。舞台となる町や施設、人物、出来事は創作です。実在する地域・団体・人物とは関係ありません。
第22話 点検日の掲示
翌朝、町内掲示板に街路灯の一斉点検を知らせる紙が貼られた。二十五日目の十八時から、区域ごとに数分間消灯する。最初のページにあった『町の灯りが一度消える』は、事故の予告ではなく予定の告知だった。
悠斗が担当部署へ確認すると、点検は半年前から決まっていた。森戸さんは日程を知り、黒いノートの締切に利用したと認めた。ただし相談窓口への提出後、三つの危険箇所を臨時点検へ加える判断が出ていた。
報告が一晩で工事を実現したわけではない。切れた灯具の交換や枝の剪定など、すぐできる対策が点検に組み込まれたのだ。抜け道のカーブミラーなどは、所有者との協議が必要で後日になる。
澪は、全部が一度に変わらないことへ少し落胆した。森戸さんは、二十五年前は返事さえ受け取れなかったと言う。受付番号、現地確認、次の期限。その一つずつが、箱へ戻さないための道だとわかった。
ノートの裏表紙から小さな封筒が落ちた。中には修理された町章バッジが二つと、沙耶の写真の裏紙がある。『見届けたら、報告すること』。森戸さんはその封筒を用意していなかった。
澪と悠斗はバッジを鞄の内側へ留めた。怖い出来事を見届ける印ではない。見たことを誰かへ渡し、返事を確かめる責任の印だった。

