大きな地震が起きた後、ニュースや専門家の解説で「割れ残り」というキーワードを目にすることがあります。
なんとなく「まだ壊れていない危険な場所」というイメージは湧きますが、実際のところどういう現象で、「次にどこが割れるのか(=地震が来るのか)」を予測することはできるのでしょうか?
今回は、地震学における「割れ残り」の仕組みと、現在の科学で分かっていること・限界について分かりやすく解説します!
そもそも「割れ残り」ってなに?
地震(特に海溝型の巨大地震)は、地下のプレート境目に溜まった歪み(エネルギー)が耐えきれなくなり、岩盤が「バリバリッと割れてズレ動く」ことで発生します。
巨大地震が起きると、非常に広い範囲(数百キロメートルに及ぶことも)の岩盤が破壊されますが、その断層全体が一卵性のように均一に割れるわけではありません。
- しっかり割れてエネルギーを放出したエリア(破壊領域)
- なぜか割れずにエネルギーが溜まったまま残ってしまったエリア
この「歪みが溜まったまま残された領域」のことを、専門用語で「割れ残り」や「未破壊領域」と呼びます。
なぜ「割れ残り」ができるのか?
断層の面は、ツルツルの板ではなく、場所によって滑りやすさや頑丈さがバラバラです。
- 岩質や摩擦の違い: くっつきが強固で固い場所(アスペリティ)は、一回の地震では割れきれずに残ることがあります。
- 連動のストップ: 破壊の波が伝わっていく途中で、地質構造の境界などにぶつかり、途中で勢いが止まってしまうことがあります。
割れ残った部分は、周囲がズレ動いたことでかえって以前より強い負荷(歪み)がかかった状態になるため、「近い将来、ここを起点に再び大きな地震が起きるのではないか」と注目されるのです。
「割れ残り」から次の地震は予想できるのか?
ここが一番気になるポイントですが、結論から言うと、「危険な場所(位置)の特定はある程度できるが、いつ起きるか(時期)の精度高い予測はできない」というのが現在の科学のリアルです。
〇 分かること:「どこが怪しいか(場所)」
大きな地震が起きた後、地震計のデータやGPS(GNSS)による地殻変動の観測、余震の分布などを解析することで、「今回の地震では、どこからどこまでが割れて、どこが割れ残ったか」を推定することができます。 過去の南海トラフ地震や東日本大震災の関連研究でも、この割れ残りの領域を特定する解析が盛んに行われています。
✕ 分からないこと:「いつ割れるのか(時期・タイミング)」
「割れ残った場所」が分かったとしても、それが「数日後」に連動して割れるのか、「数か月〜数年後」なのか、あるいは「数十年〜数百年後」の次の大地震まで持ち越されるのかを事前につかむ技術は、現在の地震学にはありません。
明日動くかもしれないし、当分動かないかもしれない、というのが正直なところです。
私たちが知っておくべきこと・できる対策
「割れ残り」という言葉を聞くと、「近いうちに必ず巨大地震が追撃してくるのでは」と強い恐怖を感じてしまいがちです。
しかし、科学的なスタンスとしては以下の捉え方が大切です。
- 過度に恐れず、知覚をアップデートする割れ残りが指摘されている地域は「他の地域よりも注意深く地殻変動を監視しているエリア」ということです。
- 「後発地震」への備えを見直すきっかけにする大きな地震が起きた直後は、割れ残り領域に限らず、隣接するエリアで同規模以上の地震(後発地震)が誘発されるリスクが普段より高まります。家具の固定や避難経路の確認、備蓄のチェックなど、日頃の備えを今一度見直すアラートとして受け止めましょう。
まとめ
- 「割れ残り」とは: 大地震の際、断層の中で割れずに歪みが残ってしまった領域のこと。
- 予想の限界: 「どこに割れ残りがあるか」は解析できるが、「それがいつ割れて地震になるか」をピンポイントで予測することは現代の科学でも不可能。
地震の予測にはまだ限界がありますが、「どこにリスクが残っているか」を科学的に把握する技術は日々進化しています。
デマや極端な予言に惑わされることなく、日頃からの防災対策をしっかり整えておきましょう!
