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放課後、数字の向こう側。第9話「受取額の窓」

自室で手数料画面を確認しながらヘッドホンを梱包する相沢澪 AI連載小説

【フィクション・投資に関する注意】
本作は架空の小説です。人物、企業、商品、学校、サービス、出来事などはすべて創作であり、実在のものとは関係ありません。本作は特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。投資には元本割れなどのリスクがあります。実際の判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。

『放課後、数字の向こう側。』全30話中 第9話

高校二年生の相沢澪が、身近な出来事を入り口に、投資と経済の仕組みを一つずつ確かめていく連載です。

前話まで
澪は身近な品物や出来事から、費用と利益、複利、サンクコスト、株主の権利、借入と手元資金、為替、分散、債券を確かめてきた。

第9話

机の引き出しから、澪は去年買った白いヘッドホンを取り出した。耳に合わず、三度しか使っていない。欲しい新しいイヤホンは六千八百円。足しにしようと、フリーマーケットアプリへ四千五百円で出品すると、その晩に売れた。

「やった、あと二千三百円」

喜んだのは、売上画面を開くまでだった。販売手数料四百五十円。売上を銀行へ移す決済手数料二百円。机の脇には、百円ショップで買った封筒と緩衝材が二百二十円。配送方法を選ぶと送料は七百五十円だった。

澪は付箋に数字を書いた。四千五百円から順に引く。手元へ来るのは二千八百八十円。思っていた額より千六百二十円も少ない。

箱を閉じる前に、配送一覧をもう一度見た。厚さを抑えれば五百二十円の便が使える。ただし、無理に薄くして壊しては困る。家にあった丈夫な小箱へ入れ替え、緩衝材はそのままにした。送料は五百二十円、資材代は二百二十円。受取額は三千百十円になった。

値段を上げればよかったのかな、と一瞬思う。でも買い手がつかなければゼロだ。先に「いくらで売れるか」だけでなく、「最後にいくら残るか」を見ればよかったのだ。

発送を済ませ、澪は投資ノートを開いた。値上がり率や利回りが同じに見えても、売買の費用や、持っている間にかかる費用が違えば、残る分は変わる。期間も金額も違うのに、表面の数字だけを横に並べるのは、四千五百円をそのまま受取額だと思うのと似ている。

澪は新しいイヤホンの購入画面を閉じた。三千百十円が入金されてから、足りない額をもう一度確かめることにした。梱包した小箱の上に、付箋を貼る。

「売れた額」には一本線を引き、その下に「残る額」と書いた。

人物紹介
相沢澪(あいざわ・みお)
十六歳の高校二年生。身近な違和感を放置できず、分からない数字は自分で確かめたくなる性格。投資経験はない。

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