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放課後、数字の向こう側。第8話「橋を直す約束」

冬の川辺で閉鎖された橋の改修説明を聞くダウンジャケット姿の相沢澪 AI連載小説

【フィクション・投資に関する注意】
本作は架空の小説です。人物、企業、商品、学校、自治体、出来事などはすべて創作であり、実在のものとは関係ありません。本作は特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。投資には元本割れなどのリスクがあります。実際の判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。

『放課後、数字の向こう側。』全30話中 第8話

高校二年生の相沢澪が、身近な出来事を入り口に、投資と経済の仕組みを一つずつ確かめていく連載です。

前話まで
澪は身近な品物や出来事から、費用と利益、複利、サンクコスト、株主の権利、借入と手元資金、為替、分散と集中のリスクを確かめてきた。

第8話

寒波の朝、校外学習のバスは川沿いで急に曲がった。歩いて渡る予定だった古い人道橋が、点検で傷みが見つかり通行止めになったのだ。窓の向こうで、白い息を吐く作業員が柵を置いていた。

見学先は橋の近くの公民館へ変更され、地域説明会にも同席することになった。錆色のダウンに青いマフラーを巻いた澪は、市の担当者が広げた改修計画の図をのぞく。工事費の一部には、架空の青葉市が発行する債券を使うという。

「債券を買う人が、橋代を寄付するんですか」

澪の問いに、担当者は首を振った。「市がお金を借りるんです。債券を持つ人には、決めた時期に利子を払い、満期には元本を返す約束をします」

では誰が払うのか。住民から質問が飛んだ。担当者は、将来の市税など一般の収入から返すため、工事を使う世代だけでなく、これからの納税者も負担すると答えた。今直せば安全を早く確保できるが、返済分だけ将来の予算は狭くなる。

別の男性が「市の債券なら絶対安心だろう」と言った。担当者は、約束は保証ではないと念を押した。財政が悪化すれば、利子や元本を予定どおり払えない危険がある。また市場金利が上がれば、より高い利子の新しい債券が選ばれ、既に出た債券を途中で売る価格が下がることもある。満期まで持つ約束と、途中の値段は同じ話ではない。

帰り際、澪は通行止めの橋を遠くから見た。迂回路には児童の列と買い物帰りの人が続いている。今日の安全を先に買い、その代金を何年にも分けて返す。配られた図の返済予定欄には、工事完成後の年月が長く並んでいた。

人物紹介
相沢澪(あいざわ・みお)
十六歳の高校二年生。身近な違和感を放置できず、分からない数字は自分で確かめたくなる性格。投資経験はない。
青葉市の担当者
橋の改修計画と、その費用を今と将来でどう負担するかを地域住民へ説明する職員。

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